- ますます重要になる医療機関の役割
- 清潔・安全な院内環境を守るための基準とは?
■清潔・安全な院内環境を守るための基準とは?
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わが国では2020年1月に最初の感染者が発見されて以降、感染拡大と収束を繰り返し、第8波にまで到達した新型コロナウイルス感染症。
この5月には感染症法上の「5類」への移行が決まり、行動規制等が緩和されるなど、国民の間でも「ウィズコロナ」の生活様式が定着してきた感があります。 - しかし当然ながら、コロナ禍の脅威が去ったわけではありません。「ウィズコロナ」では、常に新型コロナウイルスが身近に存在する前提で、行動規制のない生活になりますから、ウイルスと接触する可能性が高まるともいえます。
- これまでも感染が拡大するなかで、たびたび医療機関のひっ迫が報道されるなど、医療機関は苦境にさらされながらも、重要な役割を担ってきたことはご承知のとおりです。今後、いま以上にウイルスに接触する可能性が増えるとなると、医療機関に対する期待と役割は、ますます高まることになります。
- 新型コロナだけでなく、さまざまな症状を訴える患者が訪れる医療機関では、非常に高度な清潔環境が求められます。その衛生的な環境を守っているのが、一定の基準を満たしたビルメンテナンス事業者です。
- ここでは、清潔・安全な院内環境を守るために不可欠な、病院清掃に関係する2つの資格をご紹介します。
■病院清掃受託責任者講習
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医療法施行規則第9条の15第1号により、病院が清掃を外部に業務委託する際は、受託業務の責任者として「受託責任者」を配置することとされています。本講習は、この受託責任者の「病院清掃に関する知識」を付与する講習です。
主に病院における清掃業務の基本や作業の点検と評価、清潔区域等の医療施設の特性、感染の予防などを学びます。
図1 病院清掃受託責任者講習で使用されるテキスト『病院清掃の基本と実務』 -
受講するためには、医療機関を含む清掃業務の3年以上の経験が必要で、考査(試験)に合格した者のみが修了証書を手にすることができ、病院清掃におけるエキスパートとして位置づけられます。
受託責任者は日々の業務の中で、医療機関が選任する業務責任者と連携することが求められるなど、重要な役割を果たしています。 - ●参考「病院清掃受託責任者」
- 病院清掃受託責任者講習が、病院清掃における「人」の担保であるとすると、医療関連サービスマークは「事業者」としての担保であるといえます。
- 医療法の中では、医療機関が一定の業務を外部に委託する場合には、厚生労働省令で定める基準に適合する者に委託しなければならないと規定されています。法律または厚生労働省令で基準が定められている業務は8つあり、「清掃」もその1つになっています。
- 対象となるのは、診察室や手術室、処置室といった直接的に医療行為を行う場所のほか、給食施設や洗濯施設など医療行為を支える場、病室など患者の生活の場を含む幅広い施設の、日常的な清掃業務や消毒業務です。
- (一財)医療関連サービス振興会が認定する「医療関連サービスマーク」は、事業者が委託基準に適合しているかを判断するひとつの指標になっています。また前述の「病院清掃受託責任者」は、この認定要件の一つとして位置付けられています。
- ●参考「医療関連サービスマーク制度(院内清掃業務)」
- 「人」を担保する病院清掃受託責任者、「事業者」を担保する医療関連サービスマーク(院内清掃業務)を有している事業者は、病院清掃を実施するうえでの万全の体制を整えていることを意味します。
- これらの事業者は、病院清掃で培った知識と技術で、医療機関以外の施設でも清潔・安全を守ることができます。「5類」移行後を見据えた建物や施設の清潔・安全の確保のため、ぜひ当該の事業者の活用をご検討ください。
- 公益社団法人全国ビルメンテナンス協会
- 事業開発部 芳賀
■医療関連サービスマーク制度(院内清掃業務)
図2 (一財)医療関連サービス振興会のサイトでは、各認定の詳細を紹介
■「人」と「事業者」の両面で、施設の清潔・安全を担保
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